■基本トレーニングとは
「基本トレーニング」は、“スーパー速読”をマスターする上で、もっとも重要な基礎の部分です。カリ キュラムに従って、毎日規則正しいトレーニングを行ないましょう。トレーニング持続のコツは1日も早 く、自分のリズムをつかむことです。訓練の時間帯は 朝食をとる前であるとか、お昼休みの時間など、なるべく1日の早い時間帯が望ましいです。夜間は避けたほうがよいでしょう。
実際のトレーニングは[基本トレーニングシート] (販売中)で行ないます。
この解説・説明と[基本トレーニングシート]を確認しながら読み進めてください。
「基本トレーニング」には、「集中力トレーニング」 と「視野アップトレーニング」があります。
第1日はこのうち「集中力トレーニング」を行ないます。 第1日のトレーニング結果は「チェック用紙」へ記入してください。
●訓練の手順
速読1週間カリキュラムの期間中は毎日、トレーニ ングの初めに行ないます。
スーパー速読に必要な「集中力をつける」ことを目標に、訓練を進めます。
集中力トレーニングには、
(1)丹田呼吸法
(2)一点集中法
(3)集中力移動法 の3種類あります。
このトレーニングによって、必要なときに集中力を発揮することが可能になります。
速読をするときだけではなく、あらゆる場面で有効です。受験勉強でも、目の前に積まれた書類の山でも、資格試験のための分厚い参考書でも、どんなときにも最大限の集中力を発 揮することができるようになること、それが本来の目標なのです。
しかも、仕事のための情報収集、試験のための勉強を長い期間をかけて行なったと仮定してください。その成果をためされる会議の場や試験会場で、努力の結果を出さなければならない、長期間の努力を無駄にす ることはできない、そのときのためにこそ集中力トレーニングはあります。
あらゆる分野の集中力発揮に役立て、応用すること ができる。
そのことを忘れずに取り組んでください。
【(1)丹田呼吸法】
スーパー速読の基本が、この丹田呼吸法です。この速読に必要な集中力を鍛える呼吸は、古くから臍下丹田とも呼ばれて体の根本であるといわれる下丹田(ヘソの下約8センチの部分)で行なわれる、深くゆっくりとした呼吸です。
この部分に息を深々と吸いこみ、息を約2倍の時間 をかけて、ゆっくりと吐く、これが丹田呼吸法です。
まず、目は開いたまま、あごを引き、背筋をまっす ぐにして正しい姿勢をとり、全身をリラックスさせ、心身ともにやすらかな、静かな状態を保つようにしま す。呼吸は細く、長く、静かな呼吸です。鼻で吸い鼻 から吐きます。6秒で吸い、吸った時間の2倍の12秒 で吐きます。通常は1分間の呼吸数は平均17回ほどで す。この丹田呼吸では、1分間に3~4回の呼吸をします。そのために、自律神経が素晴らしく活発化し、心身安定のための集中力(α波の出た状態)だけでなく、ベストコンディションの状態を保つことができるのです。
トレーニング方法
● トレーニングシートのイラストを 参考にしてください。
● 1回のトレーニング時間は1分間 です。これを2、3回行ないます。
● 背つきイスの場合は少し前に腰掛 け、背もたれは使用しないでください。
● 背筋をまっすぐ伸ばし、あごを引き、首筋を伸ばします。
● 下丹田に意識を集中します。
● 下丹田に息を入れるイメージで鼻から6秒で吸い、12秒で鼻から出します。
肺活量の少ない子供や女性の方は約4~5秒で吸い、約8~10秒間で吐いてもかまいません。
息を出してもなお少し(30%くらい)残っているイメージで呼吸します。
● 6秒吸って12秒で息を吐く呼吸を回数を数えながら行ないます。
呼吸法が身につくに従い、数を数えることなくでき るようにしてください。
● トレーニング時間は慣れてきたら2分間にします。
▲ それでは1分間×2~3回、「丹田呼吸」します。
▲ 呼吸しおえたら1回ずつうまくできたかどうか、結果を記録してください。
●丹田呼吸の極意
姿勢を調え、息を調え、そして心を調える……この順番です。
調身:姿勢を調えることにかかわるポイント。集中力 のスタンス。
調息:息を調えることにかかわるポイント。集中力へ アプローチ。
調心:6秒と12秒をしっかり数えて呼吸することのみ に専念する。
コンセントレーション(集中)。
これら、極意の3ポイントをしっかりイメージして 習得してください。
【(2)一点集中法】
集中力をよりいっそう強化するためのトレーニングです。
この黒点一点をじっと見つめる一点集中法は、瞬きをせず精神を集中させ、丹田呼吸法をしながらトレーニングします。これによって、耐久力や持続力が強化 され、視覚の集中力を最大に発揮させます。また、一 点が、確実に、大きく、捉えられるようになります。
トレーニング方法
● 呼吸は丹田呼吸です。
丹田呼吸をする際の姿勢や呼吸方法、数を数えることなどに注意してください。
● 丹田呼吸法と同じ姿勢をとり、デスクなどの上にこのドリルを少し角度をもたせて持ちます。
訓練図の中央に鼻筋がくるようにします。
● 目をやや大きく見開いて、軽くあごを引き、瞬きをしないで1分間、
焦点を合わせて集中します。
● 黒点は、はっきり、大きく見える、と自己暗示をか けます。
● 黒点を凝視すると、黒点の周りに太陽のコロナのように明るい残像が出ます。
この残像がゆがんでいたり、あちらこちらに移動したりしてはいけません。
大きな真っ白の残像の中心に黒点を大きく捉えられるのが理想です。
● 1回のトレーニング時間は、1分間。2~3回行ない ます。
▲ それでは1分間×2~3回、「一点集中」してみま しょう。
▲ 訓練しおえたら1回ずつうまくできたかどうか、結果を記録してください。
【(3)集中力移動法】
丹田呼吸法と一点集中法をとり入れて、視点をスムーズに一定のリズムで移動させるトレーニング法です。目が移動しても集中力を落とさないようにするレーニングです。マスターすると眼球を一定した速さで正確に移動できるようになり、いつでも視点を見る対象に合わせることができるようになります。
トレーニング方法
● 呼吸は丹田呼吸です。
丹田呼吸をする際の姿勢や呼吸方法、数を数えることなどに注意してください。
● 丹田呼吸法と同じ姿勢をとり、デスクなどの上にこのドリルを少し角度をもたせて持ちます。
訓練図の中央に鼻筋がくるようにします。
● 目をやや大きく開いて視点を移動します。
このとき、瞬きをできるかぎりしないように気を付けましょう。
● 黒点と黒点の実線にそって視点を移動します。
最初の黒点に集中力を最大にして1秒見つめ、次の黒点 へ5秒かけて視点を移動します。
そして次の黒点を、1秒見つめます。さらに次の黒点へ5秒で進みます。
この繰り返しで視点を移動します。
● 6秒吸って12秒で息を吐く呼吸の数を数えながら視点を移動しますから、
最初の黒点から2つめの黒点までが、丹田呼吸の息を吸う6秒間、
2つめの黒点から3つめまでは丹田呼吸の息を吐く6秒間、
さら に3つめから4つめまでがさらに丹田呼吸の息を吐く6秒間になります。
この繰り返しで視点を移動します。
● 黒点がハッキリと目に入ってくる、と自己暗示をかけましょう。
● この方法で1分間上から下へ、つづけて1分間下から上へ視点を移動します。
ほぼ2分間で誤差なく終了できるのが理想です。
● 1回のトレーニング時間は、黒点の上から下までの1分間。
2~3回行ないます。トレーニングに慣れてきたら上から下、下から上というように
連続して往復する2分間にしま す。
▲ それでは1分間×2~3回、「視 点移動」します。
▲ 訓練しおえたら1回ずつうまくできたかどうか、結果を記録してください。
● 瞬きを我慢することができない=凝視がうまくでき ない方にアドバイス
セミナー講座に参加される方の中には、凝視が続け られないために
ポロポロと涙が出てしまう……という方も実際いらっしゃいます。
これでは集中力どころで はありません。
本来は1分程度の凝視はできて当然なのですが、現代ではドライアイの人が増えています。
そこで、瞬きはしてもかまいませんが、そのときパタパタパタと連続ではしないように
しましょう。連続させてしまうと集中力移動法などでは必ず視点が飛んでしまいます。
実際の速読をしている場合にも同様にどこを速読していたのかわからなくなることに
つながります。
我慢できなくなって瞬きをするときには、目を細め るのではなく、目をより見開きます。
そして1回でパ チリと瞬きをします。
訓練時間の1分/2分の間に何回瞬きしてもかまいませんが、連続してしない。
これ がポイントです。
● 丹田呼吸について
スーパー速読法の本来のトレーニングでは、基本トレーニングから目の強化トレーニング、
本読みトレー ニングまでのすべてにおいて丹田呼吸します。
しかし、丹田呼吸ができなければ速読を習得することができないということは
決してありません。
もちろん丹田呼吸できるほうが望ましいことは確かですが、集中力トレーニング以外の訓練で
それぞれの本来のトレーニング目的に支障をきたす場合も考えられます。
そこで、1週間のカリキュラムであるということから丹田呼吸はすでに行なっていただいた
3つの集中力トレーニング(丹田呼吸法・一点集中法・集 中力移動法)においてのみ
行なうこととします。
とくに初心者は、この視野アップトレーニング以降の訓練では、あまり丹田呼吸は意識せず、
息をおなかで整えるくらいの気持ちでリラックスしてのぞんだほうがよいでしょう。
■残像チェックの実験
理論のページで解説したようにスーパー速読は文字のブロックで読み進みます。
これは1回だけ1ブロックだけであればとくに難しいことではなく、例えば、
「三菱UFJ銀行」
……これは7文字のブロックですが、何の問題もないはずです。
実は人間の視野は、思っているよりもはるかに広い範囲を捉えて脳に情報を送っているのです。
それではいったいどれくらいの視野があるのでしょうか?
実験してみましょう。
○→の数字を配置した図表で、残像チェックを行ないます。
●訓練手順と注意点 (図表のほかにA4程度の大きさの白紙を1枚用意してください)
一点集中法の要領で、図表中心の小さな黒点を凝視します。
凝視の時間は、30秒間です。
一点集中法の黒点よりかなり小さくなりますが、見つめている30秒間は黒点から
視点がはずれないように集中してください。
目は見開きぎみに、瞬きはできるかぎりしないこと。
また、周囲に目をやったり、とくに数字を覚えようなどとは決してしないこと。
凝視して30秒経過したら、白紙にスムーズに視点を移動させ、2~3回かるく瞬きします。
それでは、ひたすらに視る! 最大限に集中して、 開始!