■ファースト・チェック=1分間読書速度 チェック
●チェックの前に
読書の経過時間を計るためにタイマーとストップ ウォッチを用意してください。
このチェック以降のさまざまなトレーニングでは、すべて時間(1分間・2分間)を計りながら行ないます。文章を速読するトレーニングは4日目以降に行ないますから、このときにも経過時間を計って記録しな がらトレーニングをすすめます。
このタイマーとストップウォッチは、携帯電話のメ ニューに入っていますし、よりすすんだスマートフォンなどではダウンロードすることもできるでしょう。 単体のタイマーあるいはストップウォッチを購入する方は、カウントダウン機能とカウントアップ機能の 両方を備えたものを探すとよいでしょう。ディスカウ ントショップの時計コーナーなどでよく見かけます。
●ファースト・チェック & 目標設定
スーパー速読1週間のトレーニングに入る前に、現在のあなたの実力をチェックして記録しておきましょう。この1分間読書速度チェックは、スーパー速読のセミナー講座・講習会でも必ず最初に行なっています。トレーニングに入る前の現状を把握し、当面目標とする3倍から3000文字/1分間という速さがどれくらいなのかをはっきりさせておくことは重要ですし、また必ず記録をしていくことで1週間トレーニングの進捗状況も明確になるからです。
このスーパー速読1週間のカリキュラムを開始したときと終了したときのあなたの速読能力を比べると、その差にご自分で驚かれることでしょう。
※ファースト・チェック用の文章
ネット上のニュースやコラムなどの文字数をカウントして用意してください。
全体で1000文字程度の文章でよいでしょう。
あなたの1分間読書速度は何文字でしょうか。
読み方には、以下の3条件をつけます。
【条件1】現在のあなたの読み方で、できるかぎり最高の速度で読んでください。
【条件2】できるかぎり読んだ内容を理解してください。
【条件3】名称なども可能なかぎり憶えてください。
この条件で読んでいただくと読書速度に対して最も集中した場合は、1000文字を1分足らずで余裕で読みきることができる方も多くいらっしゃるかもしれません。
しかし、単に目を通しただけの場合には、内容はあ まりよく理解していないがとにかく読み終えたということになりかねません。「あー、速く読むのに必死で ほとんどわかっていないなー」というわけです。
やはり「わかっていなければ読んだとはいえませ ん」から、ただ速く文字の上に目を走らせるだけとい うのではいけません。 あるいは、内容の理解と憶えることに集中した場合 は、当然ながら読書速度は上がらず、しかも意外なほ ど憶えたはずの内容に自信が持てない、ということに もなりかねません。
このことは実は重要なポイントですから、後のペー ジで解説します。また読後には理解度チェックがあり ます。 読後、1分間の読書文字数をファースト・チェック 記入シートに記録しましょう。
チェック項目は以下のとおりです。1分間の読書後 に記録してください。
● 速読スピード = 1分間に読んだ文字数
● 内容の理解度 (優・良・可・不良)
優:内容の詳細まで理解し、固有名詞などもつかめている
良:内容の主な流れをつかみ、かなり理解できている
可:文章内容の大筋がわかっている
●読書中の集中度(優・良・可・不良)
集中度の良否は、数値にすることはできませんから感覚的に自己採点してください。
●記憶力(単語・熟語)=書き出しとその個数
読み終えた内容の中で想い出せる単語・熟語・名称 などを書き出してください。
書き出しの時間は、2、3 分程度までとします。
いくつの単語を書き出すことができるでしょうか。
このカリキュラムを進めていく上では、記憶力はそのトレーニングの要素もふくめて、 単語の「数」で判断し、訓練していくことにします。
読後感や感想文などでチェックすると文章の上手下手という異なった基準が必要になってしまい基準が曖昧になってしまうからです。
それでは1分間を計って読んでください。
■速読スピードの目標を設定する
速読の本当の目的は? 次の章(第1日)から実際のトレーニングを行ないますが、その際に「こんな訓練で本当に速読ができる ようになるのか」という疑問や不安が生じることがあるかもしれません。しかし、迷いながらトレーニング していてはあなたの能力を引き出すことはできません。
このとき大切なのは「必ず速読を習得する!」という意志です。
実は日本速読協会のセミナー講座を受講された方々とお話をしても、速読の習得そのものが目的で参加したという方はごく少数です。速読は目的ではなく、みなさんの「本当の目的」を達成するための手段です。そのための能力を伸ばすツールなのです。
もちろん、本を読むことが大好きでとにかくたくさん読みたいという方はいらっしゃいます。ですが、速読が目的=例えば速読のインストラクターになりたい、速読で有名になってテレビに出たいなどという人は少ないのです。
「本当の目的」は、読む能力を高めて仕事にビジネスに役立てたい、資格を取ってスキルアップしたい、もちろん受験の方は学力を向上させたい、などでしょう。あなたの「本当の目的」をはっきりさせておけば速読の達成の度合いも当然高いレベルになります。
●目標を記入する
スーパー速読の入門・初級レベルとしている「3倍」 の速読には、個人差はありません。つまり、誰でも必 ず達成できます。さらにトレーニングを継続すること で10倍程度、絶対文字数としては6000~8000字くら いまではかなりの確率で達成可能です。これは日本速 読協会の30年近い講習経験に基づいて、そういい切 ることができます。
ちなみに、日本速読協会では「速読検定」を実施していますが、この10倍の読書速度は速読検定3級にあたり認定講師の最低条件です。さらにレベルの高い講師は、3万字を超える者も多数います。
では、どれくらいの期間で「3倍」になるのか。ここでもタイトルの「1週間」に個人差はない、といいたいところです。
しかし、この期間差には若干の余裕をみておいていただいたほうがよいでしょう。
トレーニング時間にそのまま比例してスピードが伸びるということよりも、最初は伸び悩んでいた能力が トレーニングを続けることで、どこかの時点でぐんぐん伸びてくるほうが多いからです。
それでは、目標記入シートに1週間カ リキュラム終了時の目標を記入しましょう。
もちろん期間を1週間に限定せずに、さらに高い目 標であってもまったくさしつかえはありません。サインペンなどの太い筆記具で、できるだけ大きくはっきりと書き込みましょう。
自分自身への決意表明です。
■ファースト・チェックの結果を評価する
●速読スピード
ファースト・チェックの結果はどうでしたか?
思ったように読めて十分と思えるほど単語などを書 き出すことができましたか?
日本人の読書速度は、平均的には縦書きの場合は 400~600字/1分間、横書きの場合には2~3割ほど速く読めて500~800字/分程度です。
もちろん、一般的な同一の文章を縦書き・横書きに して比較した場合です。
これは横書きが黙読しやすいというよりも、文章を 左から右へ目の移動をするほうが楽であることが理由 でしょう。私たちの目の筋肉=眼筋は左右の方が大き く動きますから、当然縦に眼球を動かすよりもヨコの ほうが得意なのです。
これはスポーツなどでも同じで、例えば野球でも横に変化するボールにはそれなりに目はついていきます が、縦の変化球は消える魔球になってしまうのです。
声を出す音読の場合、わかりやすい例としては NHKのアナウンサーがニュースを読む速度は400~ 500字/分のようです。 声を出さない黙読のほうが当然少しだけ有利なわけです。
トレーニング前の評価として、400字未満の方は遅 いほうだと考えてください。800字を超えた方は普通の読み方としては相当に速いと考えてよいでしょう。
しかし、この個人差もどこまでもそのままというこ とではありませんから、速度目標を達成できるように 頑張りましょう。
●記憶力(単語の書き出し数)
次に、単語の書き出し数について。
平均的な書き出し数は、5~10単語程度であることがわかっています。つまり記憶のメモリー=記憶のポ ケットが通常は5~10個あると考えてください。
5単語以下の場合は、おどかすわけではありません が、将来的に危ないかもしれません。年齢を経るにしたがい、新しいことがなかなか憶えられなくなったり、名前や名称などがすぐに出てこなくなったりしがちなのです。
10単語以上の方はとても優秀ですからカリキュラムの後半の記憶力トレーニングでさらに磨きをかけましょう。
今回のような方法で行なう記憶は、短期的な記憶ですから一定の時間経過により忘れてしまいます。
しかし、この短期記憶は記憶力の一時的なメモリー 量ですから、やはりとても重要です。
わかりやすい例としては、携帯電話の下8桁の番号を考えてみましょう。電話番号を手入力してかけたり、番号を登録する際に8桁を一度に憶えることはできますか?
8単語以上書き出した方も、「ちょっとなー」と思うかもしれません。
単純に憶えようとすると、短期記憶のメモリー=記憶のポケットは1数字に1つ必要になりますから、8 桁なら8ポケットです。しかし、これを4桁の1ブロックという方法を取ることができると、記憶のポケットは2個ですむのです。
このような方法でクレジットカードの16桁の番号 を記憶することも可能です。インターネットサイトにカード番号を記憶させてしまうのはやはり不安があり ますから、ネットショッピングには便利です。
このトレーニングには、イメージトレーニング+想 起トレーニングが必須です。カリキュラムの後半で行ないますので、ぜひ着実に訓練を進めてください。