「スーパー速読」とは? ・・速読を実現する3っの要素・・
「速読の眼」と「速読の脳」を実現する
トレーニング次第で誰でも速く読める
『新書1冊を15分で読む技術 ~スーパー速読1週間~』
『横書きを読む スーパー速読1週間』 祥伝社刊(日本速読協会:井田彰著)より
速読の能力を実現するためには、次の3つの要素が必要になります。
● より速く視る
● より良く理解する
● より正確に思い出す
速読は、練習・トレーニングを行い訓練することで実現できます。このことは「速く走る」・「速く泳ぐ」といったスポーツにおけるトレーニングと同じ意味を持っています。
言い方を変えると、トレーニングである限り必ず誰にでもある程度のところまでは“できる”、ということになります。スポーツの場合での“できる”ということが、もしオリンピックで金メダルをとるといったことであるならこれはたった一人にしか取れないということになってしまいます。
が、しかし楽しみながらほどよく速く走ったりあるいは速く泳いだりするということが“できる”ということであれば、誰にでも必ずできますよね。速読でも同じなのです。
ただリアルなスポーツとは鍛えるべき筋肉が異なり腕や脚の筋肉ではなくて、眼の筋肉だったり脳の活性化された使い方だったりするということなのです。
速読はトレーニングできる、知的な意味合いでのスポーツの一種だといいきることにしましょう。
それではどれくらい速ければ速読といえるのか?
あるいはどれくらいまでなら誰にでもできる速読なのか?
読書速度についての速読の定義などというものは存在しませんが、日本人の平均的な読書速度は1分間に400~600文字程度といってよいでしょう。日本速読協会のトレーニングを開始する際には読諸速度などのファーストチェックを行います。長年にわたり数多くの方のチェック記録が残っていますが、1分間に400文字以下の方は遅いほう、800文字を超える方はかなり速いほうと言えます。
個人差として2~3倍の速度差があることがわかっています。さらに同一の人が同じ文章を普通に読む=黙読すると仮定しても、できるかぎり速く読もうと単に努力するだけでも同じように2~3倍の速度差がでて、普通なら400文字の人も1000文字ちかく読めることもあります。
ただし、「わかっていなければ読んだとは言わない」のですからやはり3倍の読書速度というのはかなり厳しいレベルです。
実際に通常の一般的な読み方=黙読ももちろん高速化することはできますが、この相対的に3倍の読書速度、絶対的文字数としては1500文字くらいまでがその限界であり“読める・読めない”の境界ラインになります。
そこで、この3倍の読書速度のラインを超えられたなら「速読ができた」ということにしましょう。
200ページ以上はあるけれどそう厚くはない文庫本を読み続けることができると仮定して、今までは3~4時間以上必要だったものが、読みおえるのに1時間はかからない、というレベルがスーパー速読の入門レベルです。
しかし入門レベルとはいってもこの読書速度は限りない可能性・有効性を持っているのです。
なぜなら読み方=黙読をする場合には、3~4時間以上も集中して読み続けるということはほとんど困難であり、当然読みおえるまでには休憩を取る必要があり3~4時間が5時間以上もかかってしまったり、あるいはその日のうちに読みおえられなければついには積ん読におわる恐れさえあります。しかし1時間たらずで1冊の本を読みきることのできる速読者は、遥かに有利で必ずその本の知識を獲得できるからです。次々にいままで読みきっていなかった本を読破しそこに書かれている知識・情報を自分のものとすることが可能になります。
また、ここで何千文字などというときの本・文章はあくまでも通常のそう難しくはない、一般的文章のうえでの速読ですが、「難しい専門書や学術書」ではどうなのかというと、当然それらの速読も可能です。ただし、それらの本を読むときには通常1分間に500文字は読めるという人も250文字程度の読書速度になるなどおそらく半分くらいの読書速度があればよいほうでしょう。ですから速読を練習した後はその速度に比例しては速く読むことがもちろんできるようになり、たとえ700~800文字の速度であっても相対的には3倍の読書速度なのだということができるのです。
ちなみにどれくらいまでが、普通に練習すれば誰にでもできる、素質や驚異的訓練にかかわらない速読レベルなのでしょうか?
これは相対的に10倍、絶対文字数としては1分間に6000~8000文字くらい・・・とだけここではしておきましょう。
「スーパー速読」は、従来のいわゆる「飛ばし読み」・「斜め読み」などの読み方とは異なり全ての文字を見る読み方です。
速読を実現するためには、いままでの読み方=音読(黙読)の方法をかえて速読の読み方にする必要があります。速読の方法にのっとって読まなければなりません。
「スーパー速読」を読むということの段階にわけてかんがえると
情報をインプットする ・・・ 情報を処理する ・・・ 情報をアウトプットする
となりますが、この3段階は最初にあげた速読を実現するための3要素にそのままリンクしています。
スーパー速読のトレーニングは、
情報をインプットする = 視る能力のトレーニング
情報を処理する = 認識する能力のトレーニング
情報をアウトプットする = 応用する能力のトレーニング
という事ができ、「視える」「眼」と「理解する脳」を作る作業です。
つまり、「速読の眼」と「速読の脳」を実現させることになります。
「速読の眼」は、直接的に読み取る練習であり、「速読の脳」は脳の使い方を変えるもしくは活性化させる練習なのですが、実際には眼で見たものは脳が見ているわけですから「脳で視る」トレーニングだということもできます。
このことは速読を実現させることにとどまらず、予期せぬ素晴らしい効果を生み出すこととなり単に「速く読む」ことができるだけではなく理解力・洞察力や表現力などが向上することなり創造力を飛躍的に伸ばすことにつながるでしょう。
人生を大きく、豊かにする原資・資産になるのです。
それでは次にどのようなトレーニングで、「速読の眼」と「速読の脳」を実現させるのかを
解説しましょう。
●「速読の眼」の訓練ポイントは、いかに眼をとめるかということにある。
①文章の文字ブロックにいかに速く視点を止め
②視点を止めた時に、焦点の合う文章ブロック(視野)の文字数をいかにして増やし
③次の文字ブロックにいかに速く視点を移動させるのか
という3点に集約される。
・・・「速読の眼」をトレーニングする。・・・
「スーパー速読」は、従来のいわゆる「飛ばし読み」・「斜め読み」などの読み方とは異なり文章の全ての文字を見る読み方です。
速読を実現するためには、いままでの読み方=音読(黙読)を変えて速読の読み方にする必要があります。速読の方法にのっとって読まなければなりません。
「速読の眼」は、実際は多くの基本トレーニングによって訓練を行うのですが、ここではなぜそれらが必要なのか、その重要性はどのようなことなのかを理解していただきます。
一般的読書方法と速読法とは明らかに違う点があります。それは見方です。
速読の見方ができるようになれば、自動的に速読の速度を増していくことができるということができるのです。
この練習帳はサイズが大きめですから、日常読んでいる適当な本を開いて見てください。
本の1ページ全体が当然視野の中に入ります。しかし、これではページ全体の文字がただ見えるというだけで、風景のように見えるというのとかわりがありません。つまり意味を持った文章として読むためには、文章のなかの狭い範囲の何文字かを順次目で追い認識できた文字を1文字づつ音読=黙読することになります。
この見えている狭い範囲を1文字づつ音読=黙読するのではなく、数文字単位の「文字ブロック」として「視る」方法に変えることができたら画期的なことがおきます
いわんや1行全体を一度に読み取ることができたら素晴らしい能力を勝ち取ることになります。
最初から1行全体などと凄いことは言わずとも、この「文字=文章ブロック」はその見える範囲を拡大していくことがトレーニングで可能なのです。
下の文章を一目で見てください。
中心の + は視点をおくポイントと考えてください。
ポンという感じに一目で見て、目を上げます。
文字としては10文字ですが、読み取ることができましたか?
うまくいかないという方は、次の2ブロックを試してください。
今度はうまく読み取れましたか?
10文字のブロックは、初めてでは無理という方がいても、5文字ブロックは2つのブロックくらいなら連続して読み取れますよね。
誰にでも4・5文字程度なら、1度に1ブロックならそう難しいことではありません。
自動車の運転中に行き先表示などの標識類は1文字づつ黙読はしないはずですし、駅名の案内板なども当然そうです。
ここでまずブロックとして…の前に、普通の読み方(黙読)をしているの場合の視点の動きを考えて整理しておくことにしましょう。
アイポイントカメラ(運転技能の訓練などに使われる)などで視点の動きを確認すると、実際に音読=黙読をしているときの眼の動きは例1・2のようになっていることが、よくわかります。例1では、集中して読んでいない状態やその結果どこを読んでいたのかわからなくなって何度も戻って同じ部分を読み返したりするときの目の動きと集中の状態をよく理解していただけるでしょう。これはもちろん問題外なわけでこの後に起きることは、アーぐっすり寝た…となります。
もちろん速読訓練では、1字づつきちんと確認して集中状態を保つこともトレーニングの中に入っていますから、この読み方・視点の移動も良くなることは確かです。
より問題があるのは例2のほうで、この場合早く読もうとするために目を流したり、飛ばしたりするわけですから流れている部分は読んでいないのと一緒、つまり何も情報は脳にとどかないし、飛ばしたときには多くの場合、目がとまるのはカタカナや漢字の部分ですからこれも理解が低い原因になります。
思い当たる方も多くいらっしゃるとおもいますが、速読のつもりでただ目を流す見方をしてその速度を上げていくと、実は流した部分には目の焦点はまったく合っていないわけだから、当然読み終えた後に何も理解していないし何も残っていない…。
あるいは読み終えたあとに何かを残したいと思うとすると、目のとまる漢字の部分だけを必死で憶えておこうとするのだけれど、当然全部を憶えることなど出来はしませんから、というよりもドンドン前に憶えたはずの事柄を忘れてしまうだけになってしまいます。思い当たる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
■さて、そこでこれらの問題を解決するためにここからが、「速読の眼」の本題=テーマです。
ポイント①:眼はとめなければなりません。決して流してはいけません。
視点をとめていかに短い時間で焦点をあわせられるかが訓練ポイントです。
視点移動の速度アップと考えたときにたいへんまぎらわしいのですが、
この速度アップとは焦点の合う速度とあっている時間の短縮なのでです。
このトレーニングは基本訓練の中の集中力左右移動法・上下移動法・対角線移動法
などで訓練します。
ポイント②:眼をとめたときに、焦点をあわせることのできる範囲(視野)を拡大する。
図表1・2で試していただいた、一目で読み取ることのできる文字ブロックの
文字数をできるかぎり増やしていくための訓練です。
この視点を止めたときの文字ブロック、つまり視野=視幅をどのような過程で
大きくするのかが、トレーニングのポイントになります。
この訓練はポイント①の基本訓練にプラスして目の強化訓練である
記号式・文字数字式トレーニングで訓練します。
ポイント③:次の視点への移動速度を速める。
いわゆる眼の移動速度が速いという意味ではわかりやすいトレーニングという事
ができます。
しかし、ここでもポイントは目を流す速度ではなくて次の眼をとめるべき
文字ブロックに対しての移動時間の速やかさです。
一度に視ることのできる文字ブロックが大きくなれば、とうぜん次のブロック
までの移動もすばやくできます。
この訓練は目の強化訓練である記号式・文字数字式トレーニングで訓練します。
■そこで次に、視幅拡大の過程と視野ブロックの移動を考えてみます。
●このように図式的に示すとよくわかっていただけると思いますが、視幅=文章ブロックは、この
ような過程をたどって訓練し拡大されていくのです。また、赤の×は、ブロックの中心を示している
だけで、中心の1点に視点をおくのではなくブロック全体に視点を止めるようにします。
●青い→で示したようにブロックが拡大されるとブロック移動の際の目の移動も簡略化されることで、
とうぜん移動のスピードも上がることになります。
●速読で、早い速度で文章を見切っていくことができるという本質は、さきに示した1行の文章を
目を流すスピードを上げるということで達成されるのではありません。
★『より短時間で文章ブロック全体に視点をとめ=フォーカスをあわせる』
★『より大きな文章ブロックに視点をとめ=視幅を拡大』
★『ブロックからブロックへの移動速度をより速く、より短時間で正確にとめる』
この3点で可能にするのです。
まさしくいろいろな意味で「いかに目をとめるか」という事がポイントになります。
1500字/1分間(3倍)の速読目標は、図表4で示した例1のタテ1行を1/4の視野移動で十分可能になりますし、例2のタテ1行を1/3の視野移動が可能になれば2000字/1分間以上の速読もけっして不可能ではありません。
それ以上についてはこのHPのトレーニング説明範囲を超えていますが、日本速読協会ではこの素晴らしい領域に到達した人達を数多く輩出しています(速読検定試験も実施しています)から、ぜひこの入門レベルで満足することなくトレーニングを続けることをお奨めします。
「速読の眼」をトレーニングする、これを繰り返し行うということはまさに眼筋のフィジカルなスポーツトレーニングといってよいでしょう
したがって書籍を速読するということ以上に、私たちの生活の中で視力が向上していろいろなスポーツをする場合にとても有効だったり、自動車を運転するときには安全運転につながり、さらにはパソコンに向う際にとても楽になるなど、数多くのシチュエーションで思わぬ能力を発揮できるこの訓練の効果ははかりしれないのです。
・・・「速読の脳」をトレーニングする。・・・
●漢字・カタカナ・ローマ字 日本語の文章は、日本人はそれほど意識していませ んが、外国語の文章に比べて相当に複雑です。もちろ ん文法のことを言っているわけではなくて、構造的に 漢字・カタカナ・ローマ字が混在しているのです。 このような文章は欧米ではもちろん見たことがあり ませんし、中国語の文章よりも複雑でしょう。韓国語 の新聞をみると漢字・ハングル・ローマ字が混在して いるようです。 さらに、日本語には「ひらがな」があります。実は この「ひらがな」をどのように処理するかという点 が、速読をトレーニングする上での重要ポイントなの です。
次の熟語を読んでください。
①活魚 ②白飯
①はWikipediaでは、「生きたまま飲食店など調理 する場に輸送する魚介類」という意味の説明がありま す。言葉は時代によって変わりますから、30年前の 広辞苑には「生きている魚」とだけありました。 読み方は両方とも「かつぎょ」で掲載されています が、「いきうお」(活魚料理)といった読み方もできる でしょう。いずれにしても読み方ではなく意味のほう は日本全国共通のコンセンサスが得られていると思い ます。 ②はどの辞典にもまだ掲載はないと思われます。し かし、すでに日本全国で使用されています。知らな い! という方は、スーパーのお惣 そう 菜 ざい コーナーで探し てみてください。白いご飯が入った透明容器には「白 飯」とシールが張られています。こちらは少なくとも 札幌から福岡まで、セミナー講座で訪れた際に確認し ました。 日本速読協会のセミナー講座にお惣菜の会社の広報 の方が参加されたことがあり、読み方をお聞きしたと ころ、業界では「しろめし」で統一されているようで す。 さて、①と②に共通しているのは、漢字は読み方で はなく意味を表わしていることです。つまり、読み方 ではなく、漢字は見た瞬間にその意味の情報を頭脳に送っていることになります。 文章ブロックに視野を拡げて速読するときに最も重 要なのは、漢字・熟語です。とくに法律関連の資格試 験のテキストなどでは、重要ポイントはほぼ全てが漢 字・熟語になります。
次にカタカナ語です。例えば、「ニューヨーク」と いう言葉を思い浮かべてください。 日本速読協会のセミナー講座には中学1年生から参 加していただけるため、彼らにアンケートをとったと ころ、ニューヨークという言葉について、小学校1年 のころにすでに読むことはできていたが、意味がわ かったのは小学校3・4年であることがわかりました。 このように、「意味がわかる」ということは、 ニューヨークについての具体的なイメージを持つこと ができて、「あー、あの街ね」などといった理解がで きているということです。 速読では、このとき「ニューヨーク」の読み方では なく、カタカナ語の文字列を見た瞬間に意味を理解す るのです。カタカナ語はきわめて文章ブロックとして 速読しやすいといえます。 「カタカナ語」と「ローマ字語」は、ビジネス文書・ 経済本・技術書・ウェブの文書を速読するときに理解 するための最適の材料となります。
このように、「漢字・カタカナ語・ローマ字語」に 集中する、これが文章ブロックで速読をする際のポイ ントです。
●助詞(て・に・を・は)や、句読点は意識しない それでは「ひらがな」の部分、「て・に・を・は」 はどうするのか? 次の文章を読んでみてください。
2番ホームに快速電車が到着します。次の電車は…
文章の中には、漢字とカタカナの単語・熟語があり ます。文章の意味はそこにあって、ひらがな部分には ほとんどありません。 では、次の文章ブロックを速読の方法で試してくだ さい。
2番ホーム 快速電車 到着 次 電車…
どうでしょうか? 理解できないという方は少ない と思います。 視野ブロックの中の漢字・カタカナ語・(ローマ字 語)が意味を表わしていて、ひらがなの助詞(て・ に・を・は)や句読点は、速読で理解するために重要 ではないことがわかります。過激な言い方をすると無視してもよいのです。 もちろん、過去形の「到着しました」や未来形の 「到着するでしょう」の場合は問題がある、とお考え の方もいるかもしれません。この例文は1行だけです から、この文だけでしたら確かにまずいとはいえま す。しかし、通常文章は何行かで1段落というような 形式になりますから、その段落の中でいきなり1行だ け過去形になったりはしません。段落全体で過去形に なるほうが多いことからすると、それほど問題を生じ たりはしないでしょう。
●速読に向いている文章、向いていない文章 あるいは、「到着しません」の否定形の場合もあり えます。この問題は、速読に向いている文章とあまり 向いていない文章があるということに行きつきます。 速読に向いていない文章は、小説・文学作品など文 章の語尾の部分の変化が多い文章です。しかし小説な どはこのいろいろに変化するところに作品の味があっ たりするわけですから、本書で訓練するような高速を 求める必要がないのではないのでしょうか。読書速度 としては、平均の2、3倍=1200文字強程度であるな ら十分に対処が可能です。 速読に向いている文章が、本書の訓練の対象である ビジネス文書・一般教養系・情報系・テキストです。 こうした文章は基本的には情報を伝えるためのもの
ですから、あまり否定形は登場しません。ですから、 文章全体の結論として否定的なものであったとして も、個々の文章が否定形かどうかは、それほど意識す る必要がないのです。 最後に、問題があるとすると「とうちゃくします」 のように漢字変換されていない場合です。これを解決 するためには、ひらがなブロックの速読訓練の必要が あります。 この点は、先に出版されている縦書きバージョン (『新書1冊を15分で読む技術』祥伝社新書)のほうに トレーニングがありますのでそちらをお読みください。
イメージ力と想起(アウトプット)
「記憶力」という言い方をした場合には、2つの要素 があります。 それは、文字通りの「記憶」と「想起」です。記憶 はインプットであり、想起はアウトプットになりま す。 ランダムな数列などを記憶するのには限界があり、 10桁以上を簡単に憶えられますという方は数少ない と思います。上手な記憶のためにはイメージが必要に なります。これは記憶する中身が具体的なイメージと なって残りやすくなるからです。したがって、記憶力 の向上にはイメージトレーニングが大変重要だということです。
●速読におけるイメージトレーニング イメージトレーニングを速読訓練に取り入れるとい うときの「イメージ」には、次の3通りあります。
① ビジュアル(視覚的)に実際に目に見えている、そ のものの映像としてのイメージ。
視覚だけではなく知覚的なもの(五感)と感情的な ものも含めることができます。
②ここまで説明してきた理解すべき意味・内容を持っ たイメージ。 言語・語彙・概念など。
③ 連鎖的・連想的意味を持ったイメージ。
それぞれのトレーニングの前提となるポイントは、 次のとおりです。
● より具体的で、よりはっきり鮮明なほうがよい。
● 日常よく出会い、何度も繰り返されるほうがよい。
● イメージとイメージする内容とが、強く関連づけさ れ結びつけられるほうがよい。
イメージトレーニングは、訓練というよりも日常的 に、イメージ的な頭の使い方をいつも心がけることに 始まるといってよいでしょう。なぜ日常的方法なのか? それは①~③ではっきりしていますが、イメー ジは、できるかぎり具体的に、毎日数多く繰り返し て、知識や経験のネットワークに結びつけて組み込む 必要があるからです。 よく、本を読んだけれども、その内容を人に説明す ることができないということがないでしょうか? 人 に説明できるということはただ単に記憶(インプッ ト)しただけでなく、想い出す(アウトプット)こと が必要になります。 長期的な記憶には、正しくは「陳述的記憶」という 分類があります。これは説明できる記憶という意味で す。 記憶されている内容は右脳にイメージとしてありま すから、まずイメージングをすることで想い出し、そ のイメージに左脳が論理的に意味づけをしなければな りません。右脳と左脳の両方をトレーニングすること になります。 なんといっても、単に憶えている(はず)だけでア ウトプットすることがないなら何の役にも立ちませ ん。
ここではランダムな数列をトレーニングの例にして みましょう。いきなり10桁では多すぎますから6桁で す。覚えようとするのではなく、数列を頭の中にその ままありありとイメージしてください。
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さて、紙面から目をあげて頭の中にイメージできて いる数列を後ろから逆に読み上げてください。
できましたか? イメージと想起の関係もきわめて重要です。
「理解・記憶のためのポイント」を大切にし てください。
このイメージ力と想起力は、今後たくさんトレーニングします。
飛躍的な言い方ですが、この訓練はあなたの人生を 変えるといって過言ではないほどの効果があります。
・・・一週間トレーニングカリキュラムに続く